7.
選別の内容は、すごくシンプルに「【略】」。【略】もさばいている肉屋のオレが言うのもなんだけど、改めて考えると……。
「ドン引き。」
「な、内容だろう?」
言葉のお尻にくっつけてくる。ちょっとむっとする。
「こういうのアストロノーツに必要なんすか?」
「危機管理能力、生存能力のテストなんじゃないかと言われているよ。」
「ふーむ。」
ベジタリアンの男から選別とセレモニーのあれこれを聞かされる。生存能力か、なるほどね。そう考えるとユラの業界からも選ばれる理由もなんとなく分かるような気もした。まぁ、宇宙にも【略】必要なんだろう。
「全員で一斉に【略】優勝。実にシンプルだろう?」
「まぁ、確かに。」
あー、死ぬな。どう考えても死ぬ。死ぬ死ぬ。なんで引受けちゃったかな?ユラと盛り上がりまくったのもあるけれど、全然そんなの無視して、見ないようにして生きていくのもできたのじゃないだろーか。平々凡々に楽しい日々を過ごしていっても良かったのじゃないか?参加するにしても何年か後とかさ……頭がチクリと痛む。
「あの街での視聴率も良いそうだ。」
「え。」
同じ部屋にいる別の店の店員、参加者達は「イーヤァァッ!」とか「フゥゥッ!」とか張り切っている。でも君ら多分死ぬよ?しかもお互いで殺し合って……。髪をぐしゃぐしゃして、そんな風に考えているとベジタリアンが肩をポンと叩いた。
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- 14「帰ってくるさ。また会えるさ。」試し読み終了
- 13「情けないけど死にたくない。」
- 12「全然そんなの無視して、見ないようにして生きていくのもできたのじゃないだろーか。」
- 11「精神が、魂も空に上っていくとするならば、もうあの街に届いているかも。」
- 10「捨てたモノの中に宝物が混じっているように、この街の人間にもチャンスが残されている。」
- 9「 私達の心には闇がある。」
- 8「一度は否定しても、胸の中に湧き上がってくる感情が、その否定を否定する。」
- 7「同じく肉は食べられないヤツでも、今度は普通のベジタリアンが現れた。」
- 6「愛する愛さないってのは血の繋がりとかじゃないでしょ!」
- 5「空を見上げるとあの街の明かりも消えていた。」
- 4「区役所についた時は夜の礼拝の時間だったみたいで、その場にいる人らは皆して床にひざまずいていた。」
- 3「ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。」
- 2「今日は給料日。久しぶりに楽しいことをしに行こうかなっと足取りも軽い。」
- 1「天使様達がこの世界を変えようと宇宙で闘われたらしい。」
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