2014年2月14日金曜日

12「全然そんなの無視して、見ないようにして生きていくのもできたのじゃないだろーか。」

 7.

 選別の内容は、すごくシンプルに「【略】」。【略】もさばいている肉屋のオレが言うのもなんだけど、改めて考えると……。

「ドン引き。」
「な、内容だろう?」

 言葉のお尻にくっつけてくる。ちょっとむっとする。

「こういうのアストロノーツに必要なんすか?」
「危機管理能力、生存能力のテストなんじゃないかと言われているよ。」
「ふーむ。」

 ベジタリアンの男から選別とセレモニーのあれこれを聞かされる。生存能力か、なるほどね。そう考えるとユラの業界からも選ばれる理由もなんとなく分かるような気もした。まぁ、宇宙にも【略】必要なんだろう。

「全員で一斉に【略】優勝。実にシンプルだろう?」
「まぁ、確かに。」

 あー、死ぬな。どう考えても死ぬ。死ぬ死ぬ。なんで引受けちゃったかな?ユラと盛り上がりまくったのもあるけれど、全然そんなの無視して、見ないようにして生きていくのもできたのじゃないだろーか。平々凡々に楽しい日々を過ごしていっても良かったのじゃないか?参加するにしても何年か後とかさ……頭がチクリと痛む。

「あの街での視聴率も良いそうだ。」
「え。」

 同じ部屋にいる別の店の店員、参加者達は「イーヤァァッ!」とか「フゥゥッ!」とか張り切っている。でも君ら多分死ぬよ?しかもお互いで殺し合って……。髪をぐしゃぐしゃして、そんな風に考えているとベジタリアンが肩をポンと叩いた。

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