2014年2月14日金曜日

10「捨てたモノの中に宝物が混じっているように、この街の人間にもチャンスが残されている。」

 だけど、捨てたモノの中に宝物が混じっているように、この街の人間にもチャンスが残されている。それが4年に1回の選別によるセレモニー。あの街にはない汚れの中から飛び抜けた才能は、人類が宇宙へ向かう礎の一端としてあの街に招待される。色々と難しい話も多い。難しい技術は特に分からないけど、XとYがなんとかかんとか。あの街では私でも、私達でも子どもを作ることができるということだった。不確かだから不安で無理だから諦めていた。そんな心のヒビが埋まっていくように感じた。

「じゃあ、オレもiraで上れるように頑張ってみるよ。」

 ひょうたんからこま。せいてんのへきれき。ピッタリの言葉が思い浮かばないけど、ユラが選別に参加することを聞いた時に、全てが繋がった。「じゃあ」なんてぶっきらぼうに答えたけど、本当は湧き上がってくるモノで【略】。

「リーフレットとか教典に書いてあるじゃん。ジョーシキ。ジョーシキ……。」

 これも小さな嘘。本当はベジタリアンに連れられて色々と勉強会みたいなのに参加していた。教典なんて最初の方くらいしかパラ読みしたことなかったし。あの宗教の目指すところは、街に従い死ぬこと。それが当然で……でも今までは自分に関係ないことだと思っていたし、ユラと分かれるのヤだったから、考えもしなかったけど……。

 ん?どうやら私は心の声を言葉にして話していたらしい。それに気付いたら、もう留まるモノは何もなかった。

「ホント!ホント!私達、本当に一緒になるんだから!」

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